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貧しい人員配置、現場へのしわ寄せどう防ぐ-特養・ユニットケアの行方(3)(医療介護CBニュース)

 利用者にとって個室ユニットでのケアは理想的かもしれない。しかし、ケアを支える現場からは消耗しているという声も聞こえてくる。

 関東のユニット型特養で働く男性職員は、人員配置の貧しさが問題の核心だと指摘する。特養の「利用者」と「介護職」の比率は、一般に「3対1」や「2対1」といわれるが、ユニット定員が9人の場合、実際は日中「9対1」であるほか、夜間は「18対1」になるという。
 男性職員はまた、「1ユニットに介護職1人では、同時多発的な利用者対応がある中で、一つの介助に専念できないほか、全介助の人に対する食事介助すらままならないこともある。居室での介助などで他の利用者に目が届かないことが多く、転倒などの事故やトラブルを防ぐことが難しい」と言う。さらに介護職の疲弊も深刻で、長時間、過密労働により、心身共に消耗しているという。
 また、新型特養が制度化されて相当たつが、こうした現場の課題が制度にフィードバックされていないのではないかといい、「データや数値化できるものだけでなく、現場の実態を積み上げて制度設計をし直すべき。介護職も声を上げてほしい」と語る。

■「お金がないのに、理念だけ追求した結果」

 著書「働きすぎる若者たち―『自分探し』の果てに―」で、ユニットケアで働く若い職員が自発的にワーカホリックとなり、燃え尽きていることに警鐘を鳴らした甲南大専任講師(労働社会学)の阿部真大氏。
 阿部氏は、人員配置の見直しや介護報酬の引き上げがないまま、ユニットケアに踏み切ったことが最大の間違いではないかと指摘。「お金がないのに、ある種、理念だけを追求してしまった結果、ケアワーカーにしわ寄せが来てしまった」と言う。推進のためには、どれくらい予算が掛かり、増税なども必要になるのかといった国民的な議論があって初めて、可能になるのではないかという。
 また、ユニットケアの職員がバーンアウトしてしまう問題は、現在の人員配置で個室ケアを行っている以上、起こってしまうといい、「緩和するためには、ある程度身の丈に合った、介護報酬に合った形でのケアに変えていくことが第一条件。その場合、質の高い集団ケアが現実的ではないか」と語る。
 阿部氏はまた、介護従事者が将来的な展望を描けるようなキャリア制度がないことも大きな問題と指摘。施設では「質の高い集団ケア」を基礎としながら、ユニットリーダーやフロアリーダーといったようなマネジメントの職階をつくっていくほか、介護職が将来的に看護職を目指せる医療行為のキャリアラダーを用意することで賃金がアップしていく仕組みが必要とした。一方、看護師が行う医療行為を介護職にシフトさせていくことは、「安い下請け」につながる可能性もあるとしている。
 阿部氏は「若いうちは低い給料でも自分の社会的承認を求めて働くというのはあるのかもしれないが、長期的なキャリアがないといつかは辞めてしまう。仕事として一歩一歩上がって行ける、もう少し広い意味での自己実現が可能な職場にする必要があるのではないか」と話す。
 また、バーンアウトする前に職員を救う仕組みが必要といい、臨床心理士などに週1回ほど施設に来てもらい、職員が職場で抱える悩みや家族の問題などの相談に乗る体制をつくることも効果的ではないかとしている。


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